2022年私のベスト小説・エッセイ・漫画
2022私のベストエッセイ
2022年出版の書籍に関わらず、2022年に私が実際に読んだ中からのセレクトになります。
2022私のベストエッセイ
オークラ「自意識とコメディの日々 」
宇垣 美里 「愛しのショコラ 」
やなせたかし「ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか」
朝井リョウ「時をかけるゆとり/風と共にゆとりぬ/そして誰もゆとらなくなった」#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/ApLygtCLX7— すばら/読書者 (@subarashi_blog) December 29, 2022
オークラ「自意識とコメディの日々 」
まさにお笑い界版「アオイホノオ」でした!
いつもラジオで後ろから聞こえる笑い声やふにゃっと語る鉄板エピソードトーク。バナナマン、おぎやはぎの向こう側にいる面白い人と思っていた
オークラさんの青春を体感し東京のコント界をのしあがっていくエッセイです!
このオークラさんのエッセイと、佐久間さんのANNの本と、若林さんのエッセイは地続きで、お互いの視点から度々語られる関係性により世界観が同じ物語の中に居る!という感動が増します。特に、自意識~を読んでから佐久間さんの本を読むと、不遇の時代を生き抜いて現在佐久間さんや加地さんから取り合いになっているオークラさんという、なぜかこっちまでにまにましてしまうくらいの未来に、夢があるなあ!と震えました。
面白いもの同士でのリスペクトとか、俺より面白いことするな!という巨大感情の中、コントの革命に夢中で駆け抜けた日々が熱く泣けました
宇垣 美里 「愛しのショコラ 」
一粒で感情を揺さぶる。
劇的に口の中に世界が広がりカタルシスまで持っていくエンターテインメントなたべもの。
そんなチョコレートに魅せられた宇垣さんの記憶と結びついた味、物語。
愛するチョコレートから受け取ったメッセージに対する返歌のようなラブレター。
私も常に美味しいチョコレートが家にないと頑張れない人間なのですが、最近得た情報によるとゲッターズ飯田さん曰く、
チョコレートを食べている人は運気が上がっている人が多いとのこと。
よし、これからも胸を張って食べていこう。
やなせたかし「ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか」
「それいけ!アンパンマン」がTVアニメになり
国民的大ヒットとなった時、実に69歳。
ご自身を持って大器晩成だとおっしゃるやなせたかし先生の自伝的エッセイ。まえがきには、やなせ先生作詞の
「アンパンマンのマーチ」の歌詞が載っている。
漫画家であるとともに、「詩」を書くことを愛していたやなせ先生。
なんのために 生まれて
なにをして 生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ!
出典「アンパンマンのマーチ」作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし
やなせ先生曰く、もしもプロの作詞家に頼んでいたらこういう歌詞にはならなかったと。 かわいいアンパンマンというイメージの、子供に迎合したものができただろうと。 やなせ先生は子供を決して子ども扱いせずに、一人の人格として尊重する。 わかるだろうことだけを与えるのではなく、大人からまず本気の気持ちをみせる。それに対して子供はちゃんと反応する。そんな風に子どもたちとのコミュニケーションを信頼している。 あたたかくもときに厳しく、現代のクリエイターは本当に面白いものを生み出しているか。消費されていないか。迎合ばかりしていないか。
「なにをして生きるのか」答えられる大人であるのか。 そんな問いかけが聞こえてきます。
朝井リョウ「時をかけるゆとり」
エッセイ第一弾。
怖いカットモデルの話がめちゃめちゃ面白かった!
無料の客に対する雑な扱いを受ける朝井さんの脳内がこんなに面白いことになっているとは知らない
やばめの美容師さんだけど結果的に感謝しそうになるね。しっかりエッセイという形で取り返すのが最高!
この煽りが読むことに気安さをくれるけれども
圧倒的に大切な青春だった。
無駄とか無謀とか
今は省こうとしてしまうものが
ほとばしっていて
遠すぎる北海道、自転車で京都、フェリーでたどり着かない島。
他者の観測ではなく自分で体当りした経験しかきっと輝かない。
朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」
このエッセイ面白すぎて寝不足。掛かり付けの眼科の先生と急にご飯とか、ふわっとビーチバレーの大会に出るとか、レンタル彼氏と演技対決とか、結婚式の本気の余興とか…日常がエンタメ過ぎて!フットワークの軽さが躍動感ある体験を連れてくるのだなと。見習いたい!
朝井リョウ「そして誰もゆとらなくなった」
これが読めるというだけで
なんて高揚するのか。
次が数年後なんて言ってたから読み終わるの
さみしいな。
朝井ワールドへ行ってきます!
↓
(読書中)
今3分の1くらい。
伝わるかわからないけど手に持った重みが凄い。
これ、エッセイだよね?という長編大作感が。
この栞紐の色が表紙のスーツの色とリンクしてるの好きすぎるな。
この分厚さ全部笑いだと思うと、サービス精神の塊か!と叫びそうになる。
2022私のベストエッセイ
岩井 勇気「僕の人生には事件が起きない 」
「どうやら僕の日常生活はまちがっている」
中村倫也「THEやんごとなき雑談」
石田 ゆり子「Lily –日々のカケラー」
村田沙耶香「となりの脳世界 」#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/QLJfu5oDxF— すばら/読書者 (@subarashi_blog) December 29, 2022
岩井 勇気「僕の人生には事件が起きない 」
岩井 勇気「どうやら僕の日常生活はまちがっている」
ハライチの岩井勇気さんのエッセイ
①『僕の人生には事件が起きない』
②『どうやら僕の日常生活はまちがっている』
内村さまぁ〜ずを一気見していた時「岩井勇気の良さを知らしめたいハライチ達!!」が面白すぎてすぐ読んだこの2冊。ダイエット中に魚の骨が喉に刺さった時の「世界一悲しい丸飲み」という表現で永遠笑った。コラボキャンペーンの悲劇、組み立て式の棚からの精神攻撃、等エッセイの中では「悲劇」が主役だ。朝井リョウさんのゆとり3部作にも通ずる日常に潜むじわじわとした悲劇が癖になっていく。読むと、メゾネットタイプの部屋に住みたくなるし、食べログ3.5以上の店に行きたくなる。
中村倫也「THEやんごとなき雑談」
朝井リョウさんのエッセイが読み終わってしまいそうなのがさみしいので、一旦中村倫也さんのエッセイ「THEやんごとなき雑談」を読み出す。自意識とか生活に対する視点とか、なんか両者同じ世代感を感じて、最近読んだエッセイの世代感にリンクを感じるので調べてみたら、ゆとり世代とは1987年4月以降生まれなので正確にそこに入るのは朝井さんだけなんだけど
岩井勇気さん→中村倫也さん→(ここからゆとり)→朝井リョウさん という風にゆとり前夜からの流れがすーっと繋がっていて同じ世代のコンテンツで育ってきた感が言葉の端々にでるというか、共通点が色々見つかって面白い!「自意識」という言葉が作家のオークラさんや若林さんのエッセイでは、もっと苦悩に満ちたものに感じたけれど、それがだんだんと、標準装備の自意識になっていくというか。世代で括れはしないと思うけれど、「自意識」の捉え方の移り変わりついてとても調べてみたいと思った。エッセイ、奥深い。
石田 ゆり子「Lily –日々のカケラー」
アスカノ12巻でざわついた心を中和するため、石田ゆり子さんのエッセイを読む。 これは効きます。セットで読むのおすすめです。 こんなに素敵に暮らしている大人がいることの心強さ。人生が放物線を描いて味気ないものになっていくのではない未来を予感させてくれる楽しそうな大人を沢山知りたいです。
村田沙耶香「となりの脳世界 」
「コンビニ人間」から村田沙耶香さんのインタビューも色々読み漁り、フラットな視点と柔軟な思考が素敵な方だと思い、もっとまみれたくなったので。
誇張なくご自身の体験したまま、感じたままを綴り、子供の頃の思い出からいろんなエピソードを打ち明けてくれるのですが、
やはりその出来事の受け止め方、言葉での表現の仕方ひとつひとつが、独自の色をみせている。
まったく予想の付かないお話ばかり。
私のベスト小説2022
私のベスト小説2022 村田沙耶香「信仰」 村田沙耶香「コンビニ人間」 須賀しのぶ「革命前夜」 島本理生「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/2R0MlEUgPr — すばら/読書者 (@subarashi_blog) December 30, 2022
村田沙耶香「信仰」
すっかり村田さんにハマっております。
新作小説とエッセイ、とあり
どれがエッセイでどれが小説とは明記されていないところが、怪しさを際立てていて好き。
夢中であっという間に読み終わってしまう。
信憑性のないもの、実態のよくわからないものを信じる力というのは、弱さなのか強さなのか。盲信する者の塵の疑いももたず突進する力は凄まじい。現実が負けてしまうほどに。叶えたい夢に対しても、似たようなことを感じる。それを叶えたら幸せになれるかどうか、先回りして知ることはできないのに、頑なに信じて突き進む。それは輝かしい青春とも言える。業界の実態がどうだとか、労力に対して利益は見合わないぞとか、そうゆう現実にぶち当たってもなお覚めやらない強い意志と信仰の違いは見分けられない。この先に良いことが待ってるとか耳障りの良い謳い文句でも、何も指針がないよりましだったりする。解説書もない人生を、何も信じることなしに歩いていける人はいるだろうか。
村田沙耶香「コンビニ人間」
大体の人間が思う「普通」の枠組みに当てはまるように、周りの人に擬態したり、マニュアルに沿って役割に徹し、自分の意思・主張を極力表に出さぬよう生きていく主人公。コンビニという無駄のない「必要」が凝縮された空間のように、この少ないページ数で密度濃く展開してきっちり伝わる、潔く洗練された文章だと思う。普通でいるために、人の何倍も努力しているのに、周りは「自分の予想の範囲内」の存在であるよう求めてくる。微塵も憧れていないその「普通」を欲しがるよう圧をかけてくる。その違和感の描かれ方が、主人公の目に体に乗り移ったかのように感じ取れる。
作者さんのインタビューも面白かったです!
須賀しのぶ「革命前夜」
この帯の熱さに惹かれ、解説が朝井リョウさんというのもつよつよポイントだったのですが、いざ読んでみて簡単な話ではないのに、ぐぐぐーっと引きずり込まれていく心地よい没入感をくれる語り口にも、生きたことのない時代(戦後)の青年の目線もクラシックの世界も東と西に分かれているドイツも、すごく私には新鮮で、音符を譜面に書き込む心情だとか、音の響きに対する言葉での表現だとかあまりに鮮明で作者さんも音楽家なのだろうかとか、実体験なのかとか思ってしまう。朝井さんのいうとおりこれが全部取材によるものならもう何だって書ける文章実現力で、凄い…凄い…と読んでるあいだ中、圧倒され続ける。年齢的にもwikiには49歳とあるので、冷戦下のドイツをリアル体験してはいないのに、どうしてここまで当事者感がだせちゃうの??本当に凄まじい才能にぶち当たって、この帯で私を釣ってくれたジュンク堂の書店員さんにも感謝します!
毎夜早く本の中に戻りたくて。密告者だらけでもう誰も信じられない。平和でもない。だけどこの本の中の音楽家たちは音楽に対して純粋で魂の全てで楽器に向かっていて、相容れない相手とだって、音楽の才能だけは真摯に評価し認めあえる。「純化」という言葉が響いたな。
島本理生「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」
わたしたちは銀のフォークと薬を手にして/島本理生
“この世は焼き鳥とレモンサワーを一緒に楽しめる相手とできない相手に分かれることに”
自分のスピードで焼ける焼肉よりも焼き鳥なのがいい。炭の匂いの中で1串ずつを楽しみながら話せる相手はとても大切だ。
島本理生さんの小説は、文体が上品で淡々としていて女友達の話をカフェで聞いているように心に馴染むのに、必ず読後に引っ掻き傷を残していく。でもそれは新たに生まれた傷じゃなくて、私は平気だと勝手に痛み止めを飲んでやり過ごしてきたに過ぎなかったのだと気づく。
私がそれを嬉しいと思うのは、気づけない傷は治ったことすらわからないから。直視できないとか、言語化できないとか、ぼんやりと自分の中に漂っている痛みを、ここが痛いんじゃない?ってわからせてくれるのが島本理生さんなんです。それで何度救われてきたかな。ずっとお姉ちゃんみたいな存在です。
私のベスト小説2022
綿矢りさ「ひらいて」
島本理生「よだかの片想い」
伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」
島本理生「2020年の恋人たち」#読書好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/NbcolQkg4Y— すばら/読書者 (@subarashi_blog) December 30, 2022
綿矢りさ「ひらいて」
ドキドキ。
これはときめきとか可愛い意味じゃなくて
動悸のほう。
あとがきの光浦靖子さんのおっしゃるように
向こう見ずすぎる主人公の
ためらい・戸惑いなど塵かのように
突進してしまう恐ろしい行動力。
この行動原理に一体どう共感したらいいのかと
全くの別次元の人間だと読み進めていったはずが
好きな人の彼女に対するこの感情
「なにかを頑張るときに私のエネルギーの源になる“自分を認めてもらいたい”欲望が、彼女には欠けている。それを失くせば私は無気力になり生きていけないから、必死で守っているのに」という箇所で
激しい共感が襲う。
渇望がエネルギーになる、そうなるしかなかった持たざる側の人間にとって
多くを望むことなど必要のない満たされた人間が
執着を手放し自由に生きていること、そのほうが美しいんだろうと気付いてしまうこと、この絶望。
激しい感情に飲み込まれ揺さぶられすぎて
読後はふらつき少し痩せた気すらした。
感情の消費カロリー膨大。
島本理生「よだかの片想い」
一気に読んじゃいました。
顔に生まれつき大きな痣があり人間関係に悩み続けた女性が、はじめて恋愛で振り回されるけど、
自分をないがしろにしないという選択ができたのは
両親から愛情をしっかり注がれて育った根底の肯定感が強いのかな。もし両親との関係もいびつなものだったら、自分を犠牲にすることから逃げられなくなっていたかもしれない。
自分を大事に出来るかどうかって、人から大事にされたことがあるかどうかにかかってる。
親が駄目でも友達とかどこかでそういう人に出会えたらいいけど運次第なので、育つ上で愛情が必要な人類のシステムって厳しいよね。
伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」
はあーー。面白かった。ザッツエンターテインメントでした。初回特典ポストカードのコメント通り、盛沢山の要素が絡みまくって、それが現代の空気感やリアルをくれる上、作中の人物からこちら側読み手が覗かれたりする伊坂先生の仕掛けに、「わあっ!」って小説の中から読者にいたずらをしてくれるような、伊坂先生とのコミニケーションが感じられるこの感覚は、初めての体験でした。作中たくさん出てくるニーチェの「ツァラトゥストラはこう言った」10年前に読んでたけど、最近読み直したくてちょうど買ってた!なんて運命!これは立て続けに読まないとだ。
島本理生「2020年の恋人たち」
恋人と1対1のふたりきり世界で居る時は満ち足りていたのに
第三者の前で急に呼び捨てにされたり
「俺の」感を出されることへの違和感にはっとした
外での扱いに冷めることってある
急に他人みたいな距離できちゃう
この気持ちを言語化してくれた。
島本先生の描く女性主人公って、大人しそうで多感で繊細なんだけど、異性へ、恋愛への積極性。
他者と関わることに非常に興味を持っている
体の奥底にあるじんわりとした熱が漂っていて好き。
吉川愛さんがいいなあ。
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