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明日、私は誰かのカノジョ/をのひなお(漫画) 1巻~4巻 読了 レンタル彼女、パパ活、整形、リアルな現代を生きる女性の姿

漫画

明日、私は誰かのカノジョ/をのひなお(漫画)

1巻~4巻

レンタル彼女、パパ活、整形依存、風俗、ホスト狂い・・・

現代を生きるリアルな若者を描き

ヒリヒリするような感情を読む側に体感させる。

根底には貧困がある。

若者の貧困。女性の貧困。

女性性を、若さを、切り売りすることで

お金を稼ぐ。その必要に迫られている女性たち。

2022年吉川愛さん主演でドラマ化もされ、(tver、Disney+

衝撃をどよめきを起こしている漫画だ。

サイコミで配信され、

現在(2022年8月時点)で11巻まで単行本が発売されている。

都合のいいストーリーやおきまりのハッピーエンドにはならない

彼女たちの選択とは。

1巻ずつご紹介していきます。

※感想にはネタバレを含みますのでご注意ください。

作者は をのひなお さん

「明日、私は誰かのカノジョ」の作者をのひなおさんのインタビューはこちら。

「文春オンライン」インタビュー

ホストにハマり、大学をやめ性産業へ…『明日カノ』作者が語った“ホス狂”がここまでリアルなワケ

https://bunshun.jp/articles/-/44724

ねとらぼ インタビュー

パパ活、整形、ホス狂い―― “夜の街”が熱狂する漫画「明日カノ」作者×オタクホスト「阿散井恋次」対談

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2012/18/news009.html

音楽ナタリー インタビュー

ミオヤマザキ×人気マンガ「明日カノ」作者・をのひなおインタビュー|“生きづらい”女の子たちのリアリティ – 音楽ナタリー 特集・インタビュー

https://natalie.mu/music/pp/soundally_mioyamazaki

 

明日、私は誰かのカノジョ 1巻

Episode,01 Killing me softly

自分を偽って、人を欺いて。

レンタル彼女として週一のバイトで

生活費や学費を賄っている雪の物語。

 

印象的なメイクアップシーンは、今の女子が手にしたいもので溢れていて

キラキラなパッケージには女子の夢が詰まっていて。

セーラームーンの変身シーンのように、

雪はメイクアップしながら、レンタル「カノジョ」に変貌していく。

 

幼少期の親からの虐待で受けた顔のあざを

綺麗に隠して、客の男性の理想を演じきる。

この同じハイライトを、リップを、チークを

沢山の女子が日々使用している。

それは、好きな人に逢うためだったり、

自分のなりたい姿で一日を生きるためだったり。

そんなふうに自分の幸せを追い求めてするメイクのための

キラキラしたパッケージ。

 

雪には、そんな可愛かったり綺麗なコスメを使用することで

生まれる高揚感だったり、ワクワクする気持ちはなく

出来上がっていく華やかな顔とは対象的に冷めきった顔をしている。

 

そんなシーンでは、もうキラキラのパッケージすら

過剰な「幸せになれ」「女は綺麗でいろ」というような

世の中のプレッシャーを映し出して、突き刺さってくるようだ。

 

CDショップにCDを予約したり、

顧客データを手帳に記述したりと根が真面目な雪。

仕事に対する(お金を稼ぐことに対する)徹底的な姿勢は、

この仕事ではなくとも、突き詰めていけそうなバイタリティがある。

 

対象的に育ちの良い新卒会社員の壮太にレンタルされ、

少しだけ、心が動いていたと見えるも、

彼と付きあっていくことは選ばない。

 

まるでシンデレラのように

雪の結晶のストラップがついたスマホを落として

それを拾った壮太。

 

お金がないヒロイン。

愛されず育ったヒロイン。

それを救ったのは王子様なのでした。とはならない。

プリンセス神話を、恋愛神話を覆していく。

 

子供の頃から埋められない穴には、お金も必要だし、愛を受け止めることや、自分から愛することも必要かもしれない。

だけど、今目の前にいるたった一人の男性から

その愛も、生きていく資金も供給されるのを受け身で待つほど、

おめでたくはなれない。

 

雪はこの第一巻の主人公ではありますが、

引き続き続巻にも登場してきます。

雪の心の穴が埋まるときがくるのか。

それを見届けたいです。

明日、私は誰かのカノジョ 2巻

Episode,02 致死量の自由

パパ活女子リナ。

ふわふわしたイメージで女の子らしくて可愛い。

雪としてははじめてできた友達。

 

お互いのことを本当はとても必要としていているけれど、

それが上手く伝えられてはいない。

 

パパ活をしているリナは、体の関係も持っていることや

声をかけられて自分からついていった男子たちとも

寝てしまったことまでは雪にも言えない。

雪には嫌われたくないし、軽蔑されたくない。

 

そして雪の方もレンタル彼女のバイトのことはリナに言っていない。

 

リナはすごく可愛いのに

他人の言葉や行為にしか価値を見いだせない。

彼氏だと思っていた人が既婚者だったり

パパ活のパパに見放されたり

体だけの関係をもった男子に雑に扱われたり。

 

自分から飛び込んでいった先で受けた傷ではあるけれど

その度に自尊心は削られ、自己肯定感がすり減り

もっと誰かに認められたいという気持ちから

パパ活に振り戻ってしまう。

 

1巻で雪が言う

人は一度でも満たされてしまったら

同じものじゃ満足できなくなる。

幸福は麻薬なんだよ

出典『明日、私は誰かのカノジョ』1巻 著者:をのひなおCygames(連載)小学館(単行本)

という語りのように

「かわいい」もまた麻薬で

どんなに言われ慣れていても、言われ続けなければ

自分の価値を疑い始めてしまう。

 

パパ活には、期限がある。

「若い」という価値に支払われていた対価は

時間が進むとともに下降をはじめる。

この世には次々と新しい人間が産まれ、育ち、

パパ活市場にも次々と若い子がエントリーしてくる。

それを買うパパたちがそこに居続けるより短い期間で

女の子は消費される。

 

そもそも買う側、買われる側というパワーバランス。

いざという時に力でも敵わない相手。

そんな、非力な戦いを強いられるパパ活女子。

でもどうしてそんな危険を犯してまで稼ぐ必要があるのか。

 

リナと体の関係を持ったあとで、友達みたいに向き合ってくれた

雄大が言う「女って金かかるだろうし」

そう。よく聞いたセリフだ。

 

今でこそ、メイク道具を持っている男子も珍しくないが

見た目を綺麗にするのは女の仕事だった。

ずっとすっぴんで生きている男たちに

Tシャツとパンツだけでokな男子たちに

ひらひらしたワンピースで

歩きにくいヒールで

一生懸命化粧をしておしゃれをして、

磨いた肌で、選んでもらうべき女の子という図式。

 

そんな弱い立場ながら、必死にもがいて生きている

リナも雪も、お互いが必要だ。

友情でしか埋められない、支えられない心を

寄り添いながら生きていたのに

二人はすれ違い始める。

明日、私は誰かのカノジョ 3巻

Episode,03「1mm」

すれ違っていたリナと雪だったが
雪の方から、すっぴんで痣を隠さず会いに行くということで
心を開きに行った。
 
しかし・・・
このリナの(悪気はない)反応

そんな酷い痕を隠してただなんて・・・

ごめんね‼

出典『明日、私は誰かのカノジョ』3巻 著者:をのひなおCygames(連載)小学館(単行本)

リナからすっと離れていく雪の手。

 

大切と思っていた友達でも、

理解し合えない部分はある。

そういうざわめきを胸に引っ掛ける。

 

その後リナは雄大と本当に付き合い出すようだが

一緒に温泉旅行に行くのに

服代、美容院代などやはりお金が必要になり

またパパ活に手を出してしまう。

 

一見幸せなカップルの温泉旅行なのに

雄大のとなりに可愛い自分でいるため、

体を売ってしまっているリナ。

そこまでしたおしゃれを褒められても

素直には喜べない・・・。

 

そこから主役は整形依存のあやなに変わる。

整形歴も、年齢も、仕事も偽って

結婚を見据えて付き合っている彼氏(光晴)がいる。

 

光晴の方は、あやなに対してそこまでの美容は求めていないと言うが、

何百万もかけて美しい容姿に変えてきた自分でなければ

そもそも声もかけられていないのではと言う気持ちがある。

 

光晴と結婚するため、やりたい整形をすべてやって

レンタル彼女を辞めるには膨大なお金が必要で。

さらに仕事を増やしたいあやなは、

雪の顧客である翼君という、メイクに興味がある男の子にレンタルされて・・・。

 

この3巻の巻末には描き下ろしがあり

リナのパパ活Pである飯田さんのストーリーが。

最後に出てくる奥さんの顔。

本編で描かれることがあるのか。

とても楽しみです。

明日、私は誰かのカノジョ 4巻

Episode,03「1mm」

整形も、メイクも、体型維持もハイレベルの自分を作り上げるため

研究を重ねてきたあやな。

 

「美」を盲信しているようにも見えるけれど、

元々の外見のコンプレックスや、

美人と比べられて傷ついた過去もあり

容姿で判断されること。

望まざるとも、美という基準で比較されること。

そんな世の中で戦う手段が整形だった。

 

そこに雪とメイクアップ用品を一通り揃えた翼が、

雪の予約がとれなかった末にあやなをレンタルし、

自分で頑張ってみたメイクをみてもらう。

 

あやなという、美に対して恐ろしく厳しい人間にみせた、

いびつなメイク。

あやなは思わずズバッと本当の事を言ってしまい翼を泣かせてしまう。

冷徹そうなあやなだが、泣かせたお詫びにと

自身のメイク論を駆使して翼にメイクしてあげる。

 

あやなは、うまくいかない現実にいつもイライラして暴言を履いているけれど、

「綺麗になりたい」という気持ちは

純粋に翼と響き合うものがあったんだと思う。

 

翼を含め、元々の顔立ちがいいのに、

そこまであやなが底上げするのに何百万もかかったのに

なぜそれを活かさない!という苛立ちもある。

 

そんなあやなが、死んでも体だけは売らないという

信念のもとデートを重ねるだけのレンタル彼女でお金を稼いでいることが婚約者光晴にバレる。

その時も、泣いて許しを請うなんてしないと決めている

潔いあやなが格好良かった。

 

そして、年齢も整形も仕事もすべて嘘だったと

光晴に告げ、最後に整形前の自分の顔を見せて

突き放すようにその場を去るあやな。

 

その後、客を裏引き(店を通さず直接会ってお金をもらう。)していることもバレてしまい、レンタル彼女の仕事まで失って雨の中立ち尽くすあやな。

そこに雪がそっと傘を差し出す。

男性キャラクターの名前は眩しい。

雪に交際を申し込んだ壮太。

そうたという名前の響きも爽やかだが、

太い実家を持っているという意味も感じる。

 

リナの彼氏になった雄大。

こちらも、リナの弱々しさと対象的に

力を表すような名前。

 

あやなの彼氏(婚約者)光晴

あやなのしてきた整形もレンタル彼女も、年齢詐称も

それを隠してきた嘘も、

気づきもしないような、青空のもと生きてきたことをうかがわせる名前。

 

女性陣のヒリヒリした生き様と対象的に

この漫画に出てくる男性陣は

ロマン溢れる、眩しい名前がつけられている。

女性にしかわからない、弱い立場とか

それを相談できない哀しさとか、

きっと力の弱い存在になってみなければわからないこの

格差が、名前からも受け取れる。

 

5巻以降の感想はこちら↓

こちらも読んで見る→  5~8巻

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